古希になった医者のブログ

現役を引退し束縛が無くなった医者の好き勝手な話です

痩せすぎも不健康です

健康診断にいくと身長と体重を測りますよね。女性の方なんかは自分の体重は絶対に知られたくないという人が多いのに、なぜ測ると思いますか。それは健康かどうかを知るための大事な指標になるからなんです。そんなことは知ってる、太り過ぎがダメなんだ、と思う方、痩せてれば痩せてるほど良いんだ、と思っていませんか。

健康診断で身体測定の判定は、肥満、普通体重、低体重(痩せ)になります。このように判定される意味を知っていますか。普通体重というのは病気が少なく最も死亡率が低いということですね。そして肥満も痩せも同じように、病気が起きやすく死亡率が高くなるということなんです。もちろん肥満でなりやすい病気と、痩せでなりやすい病気は違いますが、どちらも普通体重の人より死ぬ率は高くなるのです。

太り過ぎは糖尿病とか高血圧とかになりやすいのは良く知られています。では痩せすぎでどんな病気になりやすくなるのでしよう。一番良くないのは免疫力が低下することなんです。健康な人はカゼぐらいで済んでも、痩せすぎの人は肺炎にまでなってしまうのです。だから歳を取って抵抗力が落ちたとき、痩せの人は特に危険です。

日本人の死亡原因の第一位はガン、第二位は心筋梗塞など心血管疾患ですね。肺炎という病気は死亡原因の第三位ぐらいになるほど多くの人の死因になっているのです。痩せすぎも死ぬ原因になるんだということを知っておいたほうが良いですね。

でもテレビでは、体脂肪率5パーセントの人が、皆から羨ましがられたりします。医者が言うことより、テレビの方を信じる人が多いんでしょうね。

 

薬の副作用

病院で患者さんに、薬を飲んでください、と言うと、副作用は有りませんか、と質問する人が時々います。あるいは、血圧の薬は飲み始めたら死ぬまで飲まなければいけないんでしょう、なんて心配する人もいます。多くの人が、口には出さなくても、薬には副作用が有るから飲まない方が良い、と思っているんでしょうね。

ところが、漢方薬は副作用が無い、とか、サプリメントは薬ではないから大丈夫、なんて思って気軽に飲む人は多いんです。それどころか、ネットで調べた外国の薬、なんてのを平気で飲む人までいるんです。医者から見ると、こっちの方がはるかに心配なんですけどね。

病院で医者が処方する薬というのは、開発されてから実際に使われるようになるまで、副作用など安全性について調べるために、多くの人を使い何回も人体実験(言葉は悪いですが理解しやすいので)を繰り返しているのです。さらに実際に使われるようになった後でも、何万人もの人に使ってもし無視できない副作用などが明らかになったら、その薬は使用中止になり回収されるのです。ちなみに漢方薬だけは、古くから使われていたという理由で、新しく造られた薬のような厳格な副作用調査はされていません。だから漢方薬で時々ビックリするような副作用が出ることが有るんですね。

ということで病院で医者が出す薬は、もし副作用が出てもその医者が責任を持って対処しますから、大丈夫です。ネットや通販で買った薬やサプリで副作用がもし出たら、誰が責任を持って対処してくれるんでしょうね。

魂って本当に有るの?

八月はお盆の季節で、テレビでも亡くなった人の魂を迎える話をしていました。

でも人の魂が帰ってくるなんてホントなんでしょうか。医者という職業柄、亡くなる人をたくさん見てきました。闘病生活の中で心を通じ合わせたと思う人も、何人もいます。でもそんな人が亡くなっても、その人の霊魂に会うなんてことは全くありませんでした。夜間当直勤務で病院内の一室に泊まり込むことが多くあるから、一度ぐらいは出てきてもよさそうですけどね。これは私だけではなく、同僚の医者や看護師なんかに聞いても同じなんです。

もしかして血縁関係のある人にだけ会いに来るのかな。でも私の両親も兄も亡くなっていますけど、残念ながら未だに会いに来てくれません。

でも霊魂に会ったという人なら、知っています。皆さんの周りにそんな人は居るかもしれませんね。私の場合、その人は精神科に入院している人でした。そしてその人は嘘を言っているのではなく、本当に見たんだと信じることができました。

ヤッパリ魂って、本当は無いのかもしれませんね。

救急車での救命処置を断る?

最近テレビのニュースを見てビックリしたのですが、救急車を呼んだのに病院への搬送途中で、救急隊員の救命処置はしないでくれと言う人が増えているらしいのです。想像すると、急に倒れて意識もない病人のため救急車を呼んだけれど、以前その人が自分には救命処置をしないで欲しいと言っていたのを思い出したので、ということなんでしょうか。

でも救急車の救命士はそういう処置をすることが義務付けられていますし、第一それにより蘇生する可能性だって十分あるんですから、それを断るというのは助かる可能性のある命をムザムザ捨ててしまうことになりませんか。

救命処置をしない方が良いのでは、という考え方が生まれたのは、昔はどんな病人でも機械的にそんな処置をしていたので、明らかにもう救命できないような病状のときは病人の苦しみを長引かせるだけではないか、という反省からなんです。だから救命処置を断るかは、何をしてももう命は助からないと判断したときだけ考えるべきでしょう。

しかしこの判断は専門の医者でも難しいです。それで最近の医者は、もうほぼ百パーセント助からないのではと考えたとき、家族など残される人にそれを説明してどうするか相談するようになりました。そして残される人が納得し同意したようにするのです。

急に倒れた人などは、適切な処置をすれば命が助かることも多いのですから、それをしないでくれなどと言って救命士を困らせ、大事な処置を遅らせてしまうようなことはすべきではないですね。

山里亮太さんと蒼井優さんの結婚

突然のこのニュースに私もビックリした一人です。

でも一般には、ブサイクランキングの一位でもてないキャラの芸人が美人女優をゲットした、という評価なんでしょうが、ちょっと違う気がします。もちろん山里さんはテレビで見ているだけですけど、頭が良く、芸が切れ、まじめな性格の人だと思います。それに美人が好きだけど、人を見る目もありそうです。でもこの結婚は、蒼井優さんが山里さんを選んだように見えるのです。

蒼井さんは恋多き女と言われるように、男性には積極的なのでしょう。そしてこれまで様々な男性を知ったのでしょう。その経験から、賢い女性の蒼井さんは男性の価値を学んだんだと思います。それが山里さんだったのでしょう。

この結婚を危ぶむ人もいるかもしれないけど、私は賢いどうしの二人はきっと幸せになると思っています。

超高額な白血病治療薬

薬価が三千万円を超える白血病の薬ができたと話題になりましたね。

一般の人の反応は…

 こんなに高価な薬を使ったら支払いできない

 でもこれで白血病は全て治せるようになった

などが多いのではないでしょうか。でも両方とも間違いなんです。

まず患者自身が支払わなくてはならない医療費は、高額医療費制度と言うものがあるおかげで殆ど月に十万円以下なんです。どんなに高価な薬を使ってもです。ただこんな薬価の高い薬がどんどん使われるようになると、国の医療費負担が重くなってしまうと話題になりましたが、患者個人にはあまり関係ありません。

それから白血病の治療は、標準的治療法と呼ばれる最も効果の認められている治療法で少なくても半分以上は治るのです。でも残念ながらそれでは治らない患者さんが少しは居ます。どんな治療をしても治らない、限られた種類の少数の白血病の患者さんに試してみる最後の治療法として、この治療が認められたのです。だからこの治療をする患者さんは多くても年間二百人位だろうと考えられています。その効果は‥多分半分治ればスバラシイ‥程度だと思うんですけど。

 

 

 

有名人の病気公表(2)

昔は人気が有った芸能人が、最近はあまり見かけなくなって殆ど忘れかけているとき、突然に癌などの重い病気になったと報道されると、健康な多くの人はビックリしたり、あの人もそんな歳になったんだなぁなんて思ったりします。もし同じような病気の人だったら、その芸能人が病気と闘いますなんてコメントすると、自分も勇気づけられるかもしれません。でも多くの人はそのまま関心が薄れてしまい、月日が流れて次に関心が向くのは病が癒えて復帰したときか、闘病も空しく亡くなってしまったとき位なのではないでしょうか。

私は芸能人が病名を公表したとき、その推測される原因についてもっと詳しく報じたらどうかと思うんですけど。堀ちえみさんの舌癌報道のとき、その原因の殆どはタバコだということは少し触れていたけれども、本人のタバコ歴については全くと言って良いほど触れられていませんでした。ただネットの中で、酒豪でヘビースモーカーだったと噂されていただけです。舌癌治療直後に食道癌の併発も報じられたけれど、噂が本当ならビックリするようなことではありませんよね。

ケーシー高峰さんが閉塞性肺疾患で亡くなったときは、生前に手術をした舌癌もあわせて、本人が漫談の中で、十代からタバコを吸っていたからね、と笑いを取っていたと報じられましたけど。

タバコが多くの死の原因になっていることは事実なんですけど、それが実感として信じられないと思う人も多いんです。そんな人が禁煙を決意する役に立てば良いと思うんですけどね。