古希になった医者のブログ

現役を引退し束縛が無くなった医者の好き勝手な話です

アビガンをなぜ認可しないんだ

連日テレビなどのマスコミは、新型コロナウィルス陽性者の数が急増したとか最多になったとか報道を続けています。これは一般の人の不安を煽るだけの意味しかありません。そして更に政府のGoTo政策の批判を付け加えるのです。でも観光で生活して長く続いた自粛で収入が激減した人々が、GoToのおかげで僅かながらに生きながらえている現状を忘れてはなりません。今政府は、この感染症による医療崩壊(=死亡者の激増)と、経済活動崩壊の間で難しい綱渡りをしているようなものなのです。我々日本国民はその政府を支援する気持ちになるべきで、けっして足を引っ張るようなことしないほうが良いと思います。

そのためにまず医者として提言したいと思います。相変わらず新型コロナ感染症を原則入院である第二類感染症相当にしたままですね。医師の判断で、入院ではなく自宅あるいはホテルなどの療養施設での治療もできる、と変更されたと言いますが、現実には無症状の若者は全て自宅療養に、とはなっていません。これがコロナ入院我謝の増加の原因となり、医療崩壊の不安を掻き立てているのではないでしょうか。医者というのは普通は安全策を取りたがりますから、軽症患者でも入院の判断をしがちなんです。私案ですが、コロナ陽性者は酸素飽和度(これは持ち運び可の簡単な器具ですぐ測定できます)の低下した人だけ入院、など基準を作ってくれれば医者も気楽に判断するのではないでしょうか。

もう一つはアビガンです。新型コロナウィルス感染症治療薬として認可されれば、これも医者は気楽に投薬できます。効果を疑問視する意見もありますが、少なくとも重症化を防ぐ効果はある程度期待できると思います。多数の軽症者にアビガンを積極的に使うことも、重症者を減らして医療崩壊に進むことを防ぐ一つの方法ではないでしょうか。

寒くなればカゼがはやるのは常識であり、冬季に新型コロナ陽性者が増えるのは誰もが予想できることです。その対策を夏や秋のうちに何故しておかなかったのでしょう。でも今らでも遅くはないから、緊急の対策はできないものでしょうかね。

「コロナなんてただのカゼ」

冬に近づき寒くなって、新型コロナウィルス感染者の数が増えてきました。テレビでは相変わらず、第三波の襲来だとか自粛が必要とか、不安を煽るようなことを言っています。でもこれって、当然のように予想されていたことですよね。

ところがテレビなどでは、コロナ感染症流行のときに重要な情報、すなわち重症者数や死亡者数については殆ど言わないんです。それを細かく報道すると、国民の不安を増すと考えているのでしょうか。

しかしコロナが怖いと感じている人には、それがどのくらい危険な病気なのか、どのくらい怖がるべきなのかをキチンと知らせるべきではないでしょうか。三月四月のこの病気が流行し始めたころとは違って、今ではかなり分かってきて対処もできるようになっているのですから。

新型コロナウィルス感染症が流行し始めてまだ十か月程ですが、日本での死亡者数は二千人に達していません。しかしインフルエンザ感染症による死亡者数は、年間に三千人以上と報告されているのです。単純に平均しても、インフルエンザで毎日十人ぐらい亡くなっていた計算になります。新型コロナもインフルエンザも、若者より高齢者に死亡者が多いのは同じですね。それで皆さん、今日のコロナ感染者数が発表されたら、今日の死亡者数も確認しましょう。

そけれでは今後のコロナ感染症はどうなっていくのか。感染者数は良くて高止まりか、悪くすると驚くほど増えるのかもしれません。でも死亡者数は、希望的観測かも知れませんが、インフルエンザによる年間死亡者数程度だと思います。しかも前回に書いた通り、今冬はインフルエンザは減り死亡数も減ると予想されるのです。

そしてコロナに感染した後に治って抗体を獲得した若者などの数が、全体の半分以上に増えると自然に流行は下火になっていくと予想されます。またはワクチンが接種されるようになり、それにより抗体を獲得した人も含めて半分以上になった時も同じです。

それが何時のことになるのか、私は来年のオリンピック前には…と考えているのですが。

しかし新型コロナウィルスを指定感染症2類相当にしたままなので、感染確認された人は原則入院とされているのですね。これが続くと、感染確認者が急増して医療側への負担が過大になってしまう恐れが大です。季節性インフルエンザと同程度の5類相当に緩和しておくべきでしたね。そうなれば感染者が入院すべきかは医者が判断できるので、インフルエンザと同じになります。

そして誰かがSNSなどではなくテレビや新聞などのメジャーなマスコミで、「コロナなんてただのカゼ」と勇気をもって発言してくれたらよいのですがね。

コロナウィルスの不思議?

この頃は新型コロナウィルスの感染者数が少し減ってきたようで、第二のピークもこのまま過ぎるのかなという気がします。しかも最初の頃と比べて、感染者数の割には重症者数や死者数も少なかったようですね。これは医療側の新型コロナウィルス患者に対する治療経験が増えて、最初は手探り状態だったが今は適切な治療手順が確立されてきた証と考えてよいと思います。

しかしこれから寒くなりインフルエンザの流行る時期が来ると、コロナとインフルエンザの両方に感染するのでは…と不安になる人もいるでしょう。でもそんなに心配することもないような気がするのですが…。

2009年の新型インフルエンザのことを覚えてると思いますけど、この時の日本人はこの新しいインフルエンザウィルスにたいする抗体を全く持っていなかったため、アッという間に全国内に大流行しました。ところが後で調べてみると、この時にインフルエンザに感染した人はほぼ全員がこの新型ウィルスで、前の年まで流行していたA香港型インフルエンザウィルスなどは、この時は殆ど流行しなかったのです。不思議ですが、その理由は良く分かっていません。

これは今の日本人が新型コロナウィルスに対する抗体を持っていない状況と、よく似ているのです。楽観的かもしれませんが、また同じようなウィルスの不思議が起きて、以前からのインフルエンザは今冬に限り流行らないかもしれませんよ。

それに新型コロナウィルス感染症も、危険なのは高齢者や免疫力の落ちる病気を持っているだけのようで、それなら今までのインフルエンザ流行と変わらないわけです。

だからコロナをむやみに怖がらず、通常の生活を取り戻せるような対処を考えた方が良いですね。

マスクの誤解

新型コロナウィルス流行を防ぐため、マスク着用が言われるようになって、もう半年以上たちました。でもいまだに多くの人が、マスクについて正しく理解していないように思えます。というのも猛暑の季節になった今、コロナ感染防止のためにマスクをするべきか、熱中症予防のためマスクを取っても良いのか悩む、なんて人がいるようだからです。それで誰もが理解しやすいように、基礎的なことから解説しようと思います。

まずコロナウイルスはドコにいるのか。殆どが感染した人の唾、鼻水の中で、他には大便中に少しいます。そのウィルスの数は、感染した人の熱・咳などの症状が出る前後の数日間が最も多いようで、その時期の唾などが別の人にうつす可能性大となります。

人はどんな時に唾を飛ばすか、ただしゃべるだけでも(大声では特に)口から1メートル位、咳くしゃみをすれば2メートルも前に飛ぶんです。唾の中にウィルスがいれば、一緒に飛びますよね。そして口から飛び出した唾の粒の多くは(2メートル以内の)床に落ちますけど、とても小さい唾の粒は、しばらく空中に漂ってから落ちるんです。

その唾の中にウィルスがいたらどうなるか、唾が落ちた床やテーブルの表面がツルツルなほど、そのウィルスがまた別の人の口に入って感染を起こす力が続くようです。分かり易く言うと、服や紙の上より、金属やプラスチックの上に落ちたウィルスの方が長く生きている(?)のです。(どのぐらい長く?…正確には分かりませんが半日ぐらい?)そのウィルスの付いたテーブルやつり革やドアノブに別の人が触ると、手指に着いて感染を起こすのです。だから手洗いやアルコール消毒が大事なのです。

では唾の中にウィルスのいる人が、その唾を飛ばさない為にドウすべきか。くしゃみをしても唾のしぶきを通さないマスクをします。暑くなって薄い布地のマスクを手作りしたら効果は期待できないかも。でも不織布マスクはしぶきをかなり止めるようですよ。

つまり唾の中にウィルスの居ない貴方は、マスクをする必要がありません。しかし最近の研究によると、特に若い人で感染してウィルスがいるのに、無症状で気付かない人が居るようです。だから自分はウィルスなんて居ないと思っている貴方が、知らずに唾でウィルスを撒き散らしているのかも知れません。やっぱり全員がウィルスを持っていると思って、しぶきを通さないマスクをすべきでしょうね。

でも常に2メートル以上離れていたら唾のしぶきは飛ばないので、マスクを外しても大丈夫です。公園なんかの広い場所だったら、暑い中に我慢してマスクをしなくても良いと思います。

しかし部屋の中ではどうでしょう。その中の誰かの唾にウィルスがいて、その人がマスクをしていなかったら、その唾の小さい粒はしばらく空中を漂います。その部屋が密閉されて空気の入れ替えをしなかったら、その粒の中のウィルスを吸い込んで感染してしまうかもしれません。だからその漂っているウィルスを吸い込まないためにマスクをする、と考えている人が多いのかもしれません。でもそれは誤解です。

ウィルスを吸い込まないためには、空気は楽に通るけどウィルスは通さないという材質のマスクを作らなければなりません。でもウィルスはとても小さいので、それは無理なんです。

ところが医療現場では、N95という規格のマスクを感染予防に使っています。これは、0.3㎛の大きさの粒子を95%以上通さないという規格です。でもコロナウィルスの大きさは、0.1㎛なのです。しかしウィルスは空中で実際は小さいゴミのような粒子に何個も付着して漂っているので、これでも通さないだろうと考えられているのです。

このマスクは目が細かいため空気が通りにくく、従って脇の隙間から息が漏れ易いものです。漏れてしまっては効果がないので、完全に密着されているかのテストが必要です。でも顔の形が様々なので、誰もが密着させられるというのは難しいのです。それに感染しない効果が期待できる密着したマスクというのは、息苦しくて長時間の使用はかなり苦痛なものですよ。

マスクは自分が感染しないためでなく、他の人に感染させないためのものだと理解してください。更にコロナウィルス感染流行のために三密を避けることが大事たということもまた、ご理解いただけたと思います。

 

 

 

コロナ感染は今後どうなるだろうーその二

この一月ほどはコロナ感染者数がますます増えて、いよいよ感染の第二波が襲ってきたと不安に駈られている人も多いでしょう。ついに恐ろしいウィルスが自分の周りにも伝わってきて、人がバタバタと死んでしまい、やがて自分の身にも…なんて、でもそんなに心配する必要はないと思いますよ。

この新型コロナウィルス感染が日本に広がって6ヵ月ほどになります。初めの頃はこのウィルスに関する情報が中国から断片的に伝わってくるだけだったため、その対応は手探り状態で試行錯誤の繰り返しだったようです。これは未知のウィルス相手だったのだから、仕方なかったのでしょう。でも様々な対策を繰り返して経験も積んだ今では、どのように対処するのが適切なのか、その方向性が見えてきているのです。

まずは前回に書いたように、以前と同じような自粛要請はないと思います。それをすれば感染者数は減らせることは分かりましたが、同時に経済にも大きなダメージがあったからです。勿論このウィルス感染によって死ぬ率が高ければ(たとえば致死率が1 割とか2割だったら)そんなことは言っていられませんが…。でも幸いなこと(?)に、このウィルス感染による致死率はインフルエンザと同程度のようです。

流行が始まったころは、若くて元気そうに見える女性芸能人が感染で亡くなったことが報じられたこともあって、怖い病気だというイメージが広がりました。初めてこの病気を治療する医者は、どのように症状が変化するかどのように治療するかも分からず実際に試行錯誤だったのでしょう。でもその後は医者も経験を重ね、不十分ながら有効な薬も出来、今では重症化も防げて死亡率もそれほど高くなく出来ていると思うのです。

以前少なかったPCR検査が今は多く行われるようになりました。それもあって陽性者数は増えていますが、その多くは20~30歳代の若者なのです。そして今のところ20歳代で亡くなったのは、糖尿病だった気の毒なあの力士だけのようです。だからコロナ感染で死ぬ可能性が高いのは、インフルエンザと同じで私のような年寄りなのです。

それで若者の皆さん、このウィルスを過度に恐れず、社会生活を活発にして経済を立て立て直してください。でも流行を広げて、年寄りにうつさないで下さい。そのためには政府が示す新しい社会のルールを守って下さい。手洗いマスクなどなどです。さらに政府が提供する新型コロナウィルス接触確認アプリも活用して下さい。6割の人がダウンロードすれば流行阻止の効果が期待できるのに、まだ1割しかないようです。政府のアプリなんて情報漏れする、なんて根拠のないことを言っているのが、我々年寄りを殺す原因になるのですから。

我々年寄りは、このウィルスのワクチンが一刻も早く一般に広まるのを、ただ祈るしかできません。私はあのアプリをダウンロードしましたが、使う機会はないでしょう。アプリが有効なのは、活動が活発な若者なのですよ。

コロナ感染は今後どうなるだろう

新型コロナウィルスの感染者数が急激に増加し始め、4月初めに政府の緊急事態宣言が出てから人々の自粛生活が始まりました。幸いその後感染者数は次第に減少し、自粛要請も二ヶ月ほどで解除されて、どうやら感染爆発のような最悪の事態は避けられたようです。でも首都圏を主体にまだまだ感染者の発生はダラダラ続いていて、寒くなる次の秋冬の頃には再び感染の第二波がくるのではと心配する人が多いですね。

今後はどのような事態になっていくのでしょう。政府が再び緊急事態宣言を出すようなことは、きっとないと思います。これ以上の経済の落ち込みは絶対に避けなければならないからです。でも感染は続きます。そこで政府は、感染者数が増えても医療崩壊が起きなければ、経済活動を続ける方向で対処しようとするのではないでしょうか。そのために軽症者のベッド数の確保や、重症者のためのICU整備(これは医療従事者数の問題があり難しいのですが)が必要です。そして感染者数を急増させないため、日本独自のクラスター対策。夜の街が集団発生の元と考えられているようで、キャバレーのホステスやホストなど従業員のPCR検査が積極的に行われているようです。

これらの対策でうまくいって欲しいと祈るような気持ちですが、でも私はひどい感染爆発はもう起きないような気がします。なぜなら、自粛を要請された人々が感染を恐れて自発的にした、神経質とも言える行動を見てきたからです。この日本人の特性がある限り、諸外国で起きているようなことは、日本では無いという気がするのです。

でも私は、この日本人の特性が却ってマイナスとなるような事態にならないかが、逆に心配なのです。皆さん、感染者が多少増えてもパニックにならないように…最悪のことにはならないだろうと覚悟を決めましょうよ。

 

 

 

コロナ感染は終息する?収束する?

新型コロナウィルス流行に対処するため、学校の休校や飲食店の営業自粛など様々な対策が行われていますね。この疫病のシュウソクのために今は耐え忍ぶ時期だ、なんて言われています。でもこれらの対策が最終的に目指しているのはどのような状態なのか、という肝心なことが人によってイメージが違っているような気がするのですが。終息なのか収束なのか、シュウソクという音が同じなので聞いているだけだと同じことを言っているように取られてしまいますが、実はだいぶ意味は違うんです。

今回のコロナウィルス流行対策の目指すところに関して、医療関係者が目指しているの明らかに流行の収束です。つまり感染者は通常の医療で対処できるほどに少数になり、流行が社会の通常の活動に支障をきたすようなことも無くなるような状態です。

政府も、まずは収束を目指しているのでしょう。でもそれをハッキリと言わないのが政治的配慮なのでしょうか。

しかし一般の人の多くは、ウィルスがいなくなり感染者が全く出なくなること、つまり流行の終息が目的と考えているのではないでしょうか。流行が終息し、安心してまた元の生活に戻りたいという気持ちなのでしょう。

でも流行の終息を目指していたら、不自由な暮らしはいつまでも続き経済も遠からず破綻してしまいます。まずは収束を目指すべきなのです。つまり流行が収束した社会とはどのようなものか、をよく理解して、そのうえでコロナウィルスに対処していくのが現実的なのです。