古希になった医者のブログ

現役を引退し束縛が無くなった医者の好き勝手な話です

新型コロナ肺炎に医者はどんな治療ができるのだろう

私は内科医ですが呼吸器疾患が専門ではないし、患者を診察する臨床医という立場からも既に離れているので、実際にコロナ肺炎患者に対しどのような治療が行われているのかは知りません。しかし私がこの肺炎の患者を治療するとしたら、どの様にすべきだろうか考えてみました。

まず他に感染を広めることを防ぐ、これは基本なので色々するでしょう。では患者自身には何をするか、まず胸部レントゲン写真を撮ります。これで肺炎が無くて、その患者が普通に食事を食べられるなら、ベッドで安静にしているよう指示するだけでしょう。発熱があったり咳が出ていても、熱は身体の抗ウィルス反応であり咳も痰を出すためであって、それを止めると身体がウィルスと戦う力を削ぐ可能性があり、普通はしません。もちろん高熱や激しい咳で患者の体力が低下しそうなら、解熱鎮痛薬や咳止め薬を使いますけど。

レントゲンで肺炎像があり、患者がゼイゼイいって苦しそうなら、その血中酸素濃度を測ります(簡単にできます)。そして酸素濃度が低下してたら、酸素吸入の措置をします。そして試験的に、治療薬使用を考えるかもしれません。厚労省試している高インフルエンザ薬、抗エイズ薬などが手に入るなら、治験(患者を使って薬の効果などをしらべる実験)という形です。一時テレビで言っていたオルベスコという喘息の吸入薬は、その添付文書を見ると感染症患者には禁忌または慎重投与になっています。この薬をコロナウィルス患者に使った医師は、勇気があったんですね。

そして患者に高濃度酸素を吸ってもらっても、その結腸酸素濃度が正常にならなければ、人工呼吸器を使い中心静脈栄養という高カロリーの特殊な点滴をします。

医者にできるのは大体こんなところです。集中治療室にいる専門の医者なら、もっと良いことをしてくれる筈だと思うかもしれないけど、あまり期待しないほうが良いですよ。